• 左: 夜の大津 (©びわ湖大津観光協会) / 右: インターラーケンと二つの湖
  • ハーダークルム、インターラーケンの頂上
  • 大津市の満月寺(©びわ湖大津観光協会)

大津市 ― インターラーケン(1978年)

関西地方 | 大津市

大きな湖を持つ日本の都市と、それより小さな二つの湖を持つスイスの町は、40年に渡る友情を築いただけではなく、オーバーラント地方に日本庭園も築きました。

日本の文明発祥の地

大津祭(©大津市)

滋賀県西部にある大津市は日本最大の淡水湖である琵琶湖に面した都市として日本中に知られています。漁業からウォータースポーツまで、市の経済、アイデンティティ、食文化は周囲の自然環境から大きな影響を受けています。京都からほんの数キロしか離れていない大津市にも歴史上非常に重要な宗教施設が数多く存在し、中でも比叡山延暦寺では多くの高僧たちが鍛錬し、学習し、世界平和を祈念しています。この寺は日本仏教の母なる山と言える比叡山にあり、ユネスコの世界遺産の一部です。

地元のスキー場の上から琵琶湖のほぼ8割が見えます(©大津市)

比叡山延暦寺でかつて僧侶の隠居所として使われていた旧竹林院(©大津市)

面白いことに、大津市とスイスの町との公的な関係のきっかけとなった、二人の友人同士による1976年8月の茶会は、先に述べた寺院ではなく、何千キロも離れたベルンの高原にあるインターラーケンという町で開かれたのです。

湖の間の茶会

湖の間の町、インターラーケン

茶会を開くには、スイスの中でこれほどユニークな場所は他にありません。川や湖、海に面した町はよくありますが、インターラーケンはトゥーン湖とブリエンツ湖という二つの湖の間にあります。山岳鉄道やケーブルカーのおかげで、町を見下ろすアイガー(3,970m)、メンヒ(4,099m)、ユングフラウ(4,158m)で山岳風景の象徴と言うべき牧歌的な環境を楽しめるインターラーケンは、観光地として200年以上も国際的な名声を得ていながら、心安らぐ人間らしさに溢れた典型的なスイスの町です。また、この地域は、忘れられない景色を楽しめるユングフラウ・マラソンから、ロックの響きに揺れるグリーンフィールド音楽祭まで、毎年心躍るイベントを開催する場所としてスイス国内でも広く知られています。

ユングフラウヨッホの「トップ・オブ・ヨーロッパ」はインターラーケンから鉄道でほんの2-3駅です

ユングフラウ・マラソン、努力と驚きの42キロ!

共に過ごした時間を大いに楽しんだ二人の友人同士は、互いの故郷の友好を深めるため、それぞれの自治体を説得しようと決意しました。2年後の1978年10月1日、大津市制80周年の記念日に、大津市役所で山田耕三郎市長とクルト・ボルター町長が大津市とインターラーケンとの姉妹都市協定に調印しました。

1978年10月: 二つの町は正式に姉妹都市に(©大津市)

シュロス通りの心字池

それ以来、両自治体の姉妹関係は双方の国際関係における重要な柱となっています。2018年10月にはウルス・グラフ町長率いる大規模な訪問団が大津市を訪れ、姉妹都市提携40周年を祝い、日本流のおもてなしを楽しみました。インターラーケンの人々は大津市の友人たちのことをとても大切に思っているので、1995年には「友好の庭」という、東屋、池、鯉を備えた完璧な日本庭園を町内に作っています。その入口にある銘板には次のように記されています。

インターラーケンにある日本庭園「友好の庭」

「庭園の作庭にあたっては、大津市から庭園技術者を派遣いたしましたが、インターラーケン市民の方々の多大なるご理解とご協力なしには、この庭園建設は成し得ませんでした。ここに厚く感謝の意を表します。この庭園が、今後インターラーケン市民と世界中からスイスを訪れる人々の憩いと交流の場となり、文化交流と友情の象徴となること、さらには永遠の世界平和実現を心から念願いたします。」