富士山5合目簡易郵便局 ― ユングフラウヨッホ郵便局(1993年)

中部地方 | 鳴沢村

25年以上にわたり、富士山にある郵便局が友好関係を持つ「ヨーロッパの頂上」の郵便局!

富士山から愛を込めて

山梨県南部の富士スバルラインの5合目で、登山者たちは険しいが素晴らしい旅に備えています。バッグやシューズ、衣服、食料の用意は万端です。これから日本を象徴する有名な富士山(3,376km)の山頂につながる吉田ルートを登ります。中には、日の出を迎えた太陽が遠く東からこの地を照らしていく光景を見た喜びと達成感で胸をいっぱいに、すでに下山途中の人たちもいます。

富士山登山という成果を後世に伝えるため、多くの登山者たちがこの5合目にある、1991年設立の富士山5合目簡易郵便局(Fuji-san 5th Station Post Office)から大切な人に宛てたはがきを送っています。しかし、郵便局の中に入ると、見慣れた旗のついた風変りな黄色のポストが目に留まります。50 × 60 × 15 cmサイズの、本物のスイスのポストが壁にかかっているではないですか!でもこのスイスのポスト、なぜここにあるのでしょう?その答えは、そのポストの周りに貼られた多数の文書や画像にあります。この20年間にわたり、この郵便局はスイス(Switzerland)最高峰の山の1つ、ユングフラウ(4,158m)の郵便局と姉妹関係を保っているのです。

2つの世界遺産に、2つのポスト

1993年: 二つの郵便局が姉妹提携

1993年7月1日、それぞれが国内で最も高いところに位置する、日本郵便の富士山5合目簡易郵便局(標高2,305m)とユングフラウ郵便局(3,454m)は、山岳郵便局提携を締結しました。スイスと日本の登山愛好家たちを結び付ける活動の一環として、この2つの郵便局は文化交流と相互理解の促進に努めることを宣言しています。この新たな友好の印として、この2局に、スイスからは黄色のものが、日本からは長く赤い郵便ポストがそれぞれ贈られました。富士山にある黄色いポストは展示用となっていますが、ユングフラウにある赤いポストは実際の業務に使われています。このパートナーシップの20周年がスイスで祝われた2013年に、富士山は世界文化遺産に登録されました。その12年前には、ユングフラウとその周辺の印象的な景観も、世界文化遺産に登録されています。

「ヨーロッパの頂上」

ユングフラウ鉄道にご乗車ください! (©ユングフラウ鉄道)

インターラーケン近郊のユングフラウ地域はスイスで最も壮麗な景観を誇る地域の1つで、世界中の旅行者や観光客の間で大変な人気を博しています。ここから頂上まではクライネ・シャイデック (2,601m) より、1896年から1912年にかけて高峰のアイガーとメンヒの岩盤をくりぬいて作られた7kmのトンネルを走る、歯車式の山岳鉄道に乗る必要があります。

ユングフラウヨッホ「トップ・オブ・ヨーロッパ」 (©ユングフラウ鉄道)

そして列車は、ヨーロッパでもっとも高い位置にある「ユングフロウヨッホ – トップ・オブ・ヨーロッパ」駅(3,454m、Jungfraujoch - Top of Europe” Bahnhof)に到着します。そこで乗客を迎えるのは、ユングフラウとメンヒの頂上、そして氷河や渓谷が連なる、まさにアルプスの氷と雪と岩山の世界です。よく晴れた日には、ドイツの黒い森やフランスのヴォージュまで見渡すことができます!これらの景色は、アレッチ氷河に設置された展望台「スフィンクス」と「プラトー」、または「氷の宮殿」から一望することが可能です。

クリスマス時期の「トップ・オブ・ヨーロッパ」 (©ユングフラウ鉄道)

2012年、「ヨーロッパの頂上」を訪れた83万人の観光客のうち、12万人が日本人でした。そして、毎日500通以上のはがきがユングフラウ郵便局からアジアに向けて郵送されているのです!あなたも、書いてみませんか?