- 左: 妙高山 (©妙高市) / 右: ツェルマット (©Leander Wenger)
- 冬のマッターホルンとツェルマット (©Pascal Gertschen)
- 夏から冬への妙高山 (©妙高市観光協会)
妙高市 ― ツェルマット(1997年)
中部地方 | 妙高市
姉妹都市
スイスで最も有名な山の麓にある村が、どうやって日本アルプスの魅力的なスキーリゾートと姉妹提携したのでしょうか
新潟の雪の下で
日本アルプスの北部に行って、雪の下を見てみましょう。確かに、妙高市は大都市ではなく、日本最高の9つのスキーリゾートが拠点としている静かな山間の町です。中でも一番有名な妙高赤倉は1930年代に開設され、昔から皇室の静養地になっています。
伝統的な手法で醸造された華やかな味わいの酒、家族経営の温泉の湯けむり、行き交う人々の人懐こい挨拶と笑顔など、妙高市は素朴で人間味あふれる日本の地方都市です。地元で旅館とスキー学校を所有する植木毅氏はそんな人々の一人でした。
「皆さん、グリュェッツィ(こんにちは)!」
植木さんは自分の町の生活様式を世界に知ってもらおうと、過去30年間、積極的に海外のスキーリゾートとの絆を築いてきました。中でも注目すべきは、1980年代半ばに、よく妙高高原町(2005年の合併までの旧町名)と比べられてきたスイスの村、ツェルマットの住民に接触したことです。
この縁で、1994年9月にツェルマットのロベルト・グンテルン村長とツェルマット観光局のアマデ・ペリグ局長が妙高高原に招かれて両自治体の観光組織の友好宣言に署名した結果、スイス側のスキー指導者数人が日本側のリゾートに来て植木氏のスキー学校で教えるようになりました。二つの自治体の関係はより緊密になり、1995年5月には妙高高原町民の一団がスイスに向けて旅立ちました。彼らの目的地は、間もなく姉妹都市となる村でした。
象徴の隣で
世界で最も象徴的な山の一つである伝説的なマッターホルンの麓の標高1,600メートルにあるツェルマットは人口5千人の村で、息をのむような風景、360キロものスキーコース、豊富なエンターテインメント、多くのハイキングコースや登山ルートで世界的に有名です。パノラマのような景色を楽しめるマッターホルン・ゴッタルド鉄道の終点という便利な場所に位置しています。
この休暇先は厳しい環境政策のおかげで自動車の乗り入れが禁止されているので、手つかずの自然、澄んだ空気、素朴な建物、アルプス風の程よいおもてなしなど、旅行者がスイス・アルプスに期待する特徴を保っています。世界クラスのウインタースポーツ選手や登山家がトレーニングを行う姿は年間を通じて見られます。ただし、野生のマーモットは例外で、彼らは冬になると旅行者と戯れるより冬眠を優先します。幸い4月初めになれば、ツェルマット・アンプラグドというフェスティバルの陽気な響きがマーモットを起こしてくれることでしょう。
スイスの寿司と日本のセントバーナード犬
最初の訪問から2年後の1997年5月24日、妙高高原町民は勇んでツェルマットを再訪して姉妹都市提携を結び、観光関連に加えて教育、文化、スポーツでも協力することを約束しました。それ以来、他の多くの姉妹都市よりも頻繁に交流が行われています。その例を挙げると、橋本龍太郎首相に雪崩救助犬が送られ、ツェルマットに寿司店が開店し、植木さんがスイスを訪問し、双方に姉妹関係を推進する原動力となるクラブが設立され、約8万人の日本人旅行者が毎年ツェルマットを訪れています。
どちらかの姉妹都市を訪れる機会があったら、相手側の名前を出してみてください。間違いなく、おいしいワインか酒のグラスと、スイス・日本両国民の友情に関わる個人的な体験談でもてなしてもらえることでしょう。