• (©富士市)

富士市(2021年ホストタウン)

中部地方 | 富士市

毎朝は無理にしても一度でも富士山を見たいと夢見るスイス人が大勢いる一方で、スイス人水泳選手は2年間もこの特権を得られます。

富士山と市

(©富士市)

これほど象徴的な風景を持つ場所が日本国内に他にあるでしょうか。日本で最も有名な象徴と太平洋に挟まれて横たわる富士市は、伝統的に製紙業が盛んなことから静岡県の主要工業都市として、また登山シーズンには富士宮ルートの出発点として知られています。

その一方、富士市は間もなくスイス人にとって忘れられない別の意味を持つことになります。2019年から2021年にかけて、そしてたぶんその後も、スイスのエリート水泳選手を受け入れてくれるのです。

スイスの王者たちと提携

2018年初頭、オリンピック水泳競技のスイス代表選手の事前トレーニングキャンプを静岡県富士水泳場に誘致する計画について話し合うため、富士市関係者はスイス水泳連盟に接触しました。多文化主義や国際協力の推進、そして障害のある人たちがスポーツに親しめるようにすることを目指している富士市は、これらの分野におけるスイスの専門的知見が正に理想的だと知っていたのです。

静岡県富士水泳場 (©富士市)

スイス代表の水泳選手でオリンピックの表彰台に上ったのはこれまで一人だけですが(1984年、銅メダル)、ダニエル・クンツィーやヘジス・メトローらパラリンピック選手たちは、パラリンピック大会が初めて開催された1960年のローマ大会以来、実に合計25ものメダルを獲得しています。ヨーロッパ水泳選手権や世界短水路選手権でスイスが優秀な成績を収めていることからも、この競技におけるスイス水泳連盟の深い技術的・専門的知見が実を結んできていることが伺えます。

日本でのトレーニング

この協定のおかげで、富士市の水泳場はスイス水泳界の精鋭たちが練習を行う場になります (©富士市)

その後数か月の間に、50メートルx25メートルの室内プールや飛び込みプールをはじめ必要な飛び板や台などすべてを備え、国際的に承認された市の施設へのアクセスをスイスチームに与えるという協定が締結されました。2019年6月後半から、あらゆる種目のスイス人水泳選手約50名が富士市を訪れ、2021年東京オリンピックはもちろん、2019年と2021年に韓国と福岡でそれぞれ開催される世界水泳選手権に向けての練習も行います。選手たちは、日本で最も神聖とされ崇敬を集めている山の麓で日本のおもてなしを体験する機会にも恵まれるでしょう。

静岡県富士水泳場のメインプール (©富士市)

しかし、富士市とスイスとの協力関係はここで終わりません。協定が東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部から正式に承認されたため、「鉄は熱いうちに打て」ということわざに倣って、2018年8月、地元関係者は2021年に向けてスイスのホストタウンに応募しました。

スイスが町にやってくる

2021年東京オリンピック・パラリンピック競技大会以前から大会期間中にかけて、東京以外の住民と諸外国、来日するオリンピックチームの間で教育ならびにスポーツ面の交流を促進することを目指して、日本政府は2016年にホストタウン事業を立ち上げました。事前キャンプ、ショーケース、講演、ワークショップ、フェスティバルが富士市全域で開催され、スイス人選手と地元住民が出会い、交流し、2021年以降も続く新しい絆を生み出すユニークな機会を提供します。

富士市は「オリンピックへの道」でのスイスのホストタウンです (©富士市)

同様のイベントは日本国内の他の4か所、京都府大山崎町、福島市、大分市、つくば市でも同時期に開催されます。この特別なパートナーシップのおかげで、スイスと日本の友情は一層の活力と創造力を伴って2021年以降の時代を迎えます。