• (©在日スイス大使館)
  • (©レーティッシュ鉄道)
  • (©箱根登山鉄道株式会社)

箱根登山鉄道 ― レーティッシュ鉄道(1979年)

関東地方 | 箱根町

日本初の山岳鉄道はスイスに倣って作られました。その象徴とされる鉄道会社2社は1979年以来、この歴史的な絆を大切にしています。

奇妙な動き

出山橋を渡る (©箱根登山鉄道株式会社)

富士山周辺の地域を訪れる旅行者は老若男女を問わず、箱根に行くのは箱根そのものと同じくらいエキサイティングだという意見に賛成するでしょう。100年前から現在まで、小田急グループの箱根登山鉄道を使うと、約40分でこの有名な町に到着します。電車とケーブルカーを運営するこの鉄道に乗れば、満開のアジサイからロマンチックな紅葉まで、思い出に残る自然美に満ちた沿線の風景を堪能できます。

箱根登山鉄道のスイッチバック線路

箱根湯本(96m)と強羅(541m)を結ぶ電車は時に最高勾配8%もの路線を進むため、箱根登山鉄道にはスイッチバックというユニークな技術的特徴があり、鉄道ファンの間でもよく知られています。これは、電車をジグザグに走らせるため、運転手と車掌が席を交替するというものですが、どこからこのシステムを取り入れたのでしょうか。その理由を知るため、20世紀の一人の日本人技師がスイス東部を訪れた時の足跡を辿ってみましょう。

箱根登山鉄道の電車はグラウビュンデン州というスイス東部の山岳地域にある広大な州のマークを付けています (©箱根登山鉄道株式会社)

スイスの技術を学ぶ

1912年、箱根登山鉄道の前身企業の技師だった半田貢氏は登山鉄道視察のためスイスを訪れました。グラウビュンデン州でベルニナ鉄道に乗った半田氏は、その技術的専門性(特にスイッチバックという方法)と目を見張るような山岳風景の両方に強い感銘を受けました。半田氏は視察の内容を記録し、帰国後に日本初の山岳鉄道の設計を始め、7年後に箱根で8.9kmの路線が開業しました。新しい登山電車(当時600V DC)のおかげで箱根の人気は高まり、今でも国内外から旅行者が訪れる日本有数の観光地の一つです。

アルプラ・トンネルの南口でシフト交替、1900年頃 (©レーティッシュ鉄道)

スイス側から箱根登山鉄道に贈られた友好のカウベル (©箱根登山鉄道株式会社)

この有名な路線の開業60周年記念を機に原点に立ち返ろうと、箱根登山鉄道は既にベルニナ鉄道の路線を統合していたレーティッシュ鉄道と1979年6月1日に姉妹鉄道協定を結びました。それ以来、両社はお互いの赤い車両に相手の社名や相手国を表すデザイン(白十字や桜花など)を描いたり、地域観光振興のために社員が協力したりする機会を設けてきました。この姉妹鉄道提携を通じて35年間に渡る関係を築いてきたスイスと日本の自治体、つまりベルニナ線の終点であるサンモリッツと箱根が2014年に友好都市協定を結んだのは自然な流れでした。

2016年: スイスを訪れた箱根登山鉄道の訪問団 (©レーティッシュ鉄道)

2016年: 日本の姉妹鉄道に敬意を表して発表されたレーティッシュ鉄道の限定車両 (©レーティッシュ鉄道)

2017年: 日本の提携先の企業カラーがはためくレーティッシュ鉄道 (©レーティッシュ鉄道)

ハイジのふるさとを訪ねて

スイスで最も美しい鉄道の一つであるレーティッシュ鉄道を抜きにしてグラウビュンデン州は語れません。1889年に開業した鉄道は総延長130kmに及ぶ路線で州の大半を網羅しており、毎年何百万人もの旅行者や地元の人々を運んでいます。大自然の風景にうまく調和している鉄道とその設備は、ハイジの冒険の背景となった場所にさらなる魅力を与えています。詳細はスイス・グランドトレインツアーでご覧ください。

ベルニナ・エクスプレス、ランドヴァッサー橋 (©レーティッシュ鉄道)

ベルニナ・エクスプレス、ポスキアーヴォ湖 (©レーティッシュ鉄道)

レーティッシュ鉄道の路線のうち最も有名なのはベルニナ・エクスプレスでしょう。サンモリッツを出発した列車は巨大なモルテラッチ氷河のそばを通り、標高2,253mというヨーロッパ最高地点のベルニナを超え、急カーブに沿ってポスキアーヴォへと下っていきます。ティラーノまで旅を続けると、ブルージオで螺旋状の橋を通るという、さらに特別な体験ができます。

ベルニナ・エクスプレス、アルプ・グリュム (©レーティッシュ鉄道)

レーティッシュ鉄道はこのように発展を続ける一方で、創業初期の精神を忠実に守ってきました。それは、山岳地域の最高に美しい場所を唯一無二の路線で結ぶということです。手つかずの自然あふれる村々や原始の状態を保つアルプスなど文化的価値を持つ沿線風景があるため、アルブラ線とベルニナ線は2008年にユネスコ世界遺産に登録されました。皆さん、ご乗車ください。スイス・マジックにお連れする列車が間もなく発車します!

ベルニナ・エクスプレス、ランドヴァッサー橋 (©レーティッシュ鉄道)