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USMモジュラーファニチャー

関東地方 | 東京都千代田区

皇居から少し東に離れた場所で、3文字の名前を持つスイスのデザイン会社とその代表的な家具シリーズはスタイルと柔軟性の平和的共存を目指しています。

必要に迫られたデザイナー

スイスのベルン州ミュンジンゲンにあるUSM本社と工場 (©USM)

USMは家庭用・業務用のモジュラーファニチャーのメーカーとして有名なスイス企業です。1885年に窓金物、装飾蝶番などの金物製造業者としてウルリッヒ・シェアラー(Ulrich Schaerer)によってミュンジンゲン(Münsingen)で創立された会社は、戦後の経済需要に支えられて1940年代後半に大きく成長しました。USM創立者の孫であるポール・シェアラーは1961年に製造拠点を近代化することを決め、自社の工場と管理部門が必要とする空間を備えた近代的なビルを構想するよう、スイス人建築家フリッツ・ハラーに依頼しました。そのために、ハラーは柔軟性に富み、金属枠を持つモジュラー建築システムを創り出しました。

USM本社、1965年 (©USM)

2年後の1963年、オープン・プラン式の自身のオフィスにふさわしい家具を見つけられなかったシェアラーは再度ハラーに連絡し、同じモジュラー方式を使った全く新しい家具のコンセプトを一緒に作らないかと提案しました。建築家がデザインを担当する一方、実業家は技術面を担当し、間もなく代表的なUSMハラー・システムが生まれました。このシステムは自社のオフィス以外でも大成功を収めたため、USMは徐々に家具製造を中核事業とするようになりました。

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輸出して現地で加工

現在ではUSMモジュラーファニチャーは世界40か国以上に輸出されています。その販売とサービスの国際ネットワークは410を超える認定代理店とのパートナーシップによって支えられています。USMハラーシリーズはデザインの古典として広く称賛を集め、ニューヨーク近代美術館やクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館の永久コレクションに加えられています。顧客の要望に応じて専門のスタッフが3Dシミュレーションを使って家具をデザインし、見積もりを出す直営のショールームは、東京を含む世界中の大都市に開設されています。

丸の内にあるUSMショールーム (©USM)

日本での販売は30年以上前に始まり、主にスイスやドイツの個人客や企業が相手でしたが、近年は日本の事業所や個人宅のシェアが順調に伸びています。USMは2008年に初の完全子会社を日本に設立し、2009年には丸の内にシグナチャー・ショールームを開設しました。現在USMの流通網は北海道から九州まで日本全国30以上の家具店に広がっています。

丸の内にあるUSMショールーム (©USM)

ベルンにあるUSMショールーム (©USM)

USMが好調なビジネスを続ける一方で、信じられないかもしれませんが、その製品には日本の影響を受けているものがあります。日本の環境に対応するため、USMハラー・システムにはラッチ機能という特別な変更が加えられています。1995年の阪神淡路大震災を受けて、強い揺れが来た場合に扉パネルが開かないようにするため、日本モデルには小さな留め金を付けるよう再設計されました。発表以来このモデルは世界中のUSMの直営店や小売店で販売されていて、USMユーザーの安全に貢献しています。

スイス基準の代表的モデル

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USMハラー・システムのシリーズはテーブルや付属品など他の商品群とともに、革新性、品質、柔軟性、耐久性、不変性といった古典的なスイス・デザインに見られる中心的価値観を再現しています。エレガントなその形状やミニマリスト的なデザインは「形態は機能に従う」という考えに基づいています。どの家具も家庭とオフィス両方の環境に対応できるように、そして建築・内装がどんなデザインであっても同化するように作られています。

USMハラーシステム (©USM)

USMハラー・システムのコンセプトは、オフィスや家庭で自由に配置できるモジュラー式デスクと収納のソリューションです。標準的な形状、サイズ、仕上げで作られているテーブルは、電話用のスウィングアーム、モニターやコンピューター、書類や配線の整理アイテムなど、現代のテクノロジー機器をアクセサリーとして付けることができます。フレームはパネル、接続チューブ、ボールの三つの基本的な要素を基に構成されているので、どの方向にも組み立てられ、状況が変われば解体して再構築することができます。このファニチャーユニットは希望に応じてドア、引き出し、様々な内部整理用アクセサリーを追加することによって、さらにカスタマイズすることができます。

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