• (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

ニコラス・G・ハイエックセンター

関東地方 | 東京都中央区

高名な創業者の名を冠した銀座のスウォッチ・グループのビルは、まさにブランド・イメージそのもの : 贅沢かつ革新的!

1人の男、1つのビジョン、1つのビル

スウォッチ創業者ニコラス・G・ハイエック (1928-2010) (©スウォッチ・グループ社)

「スイスの時計産業の救世主」とよく呼ばれるニコラス・G・ハイエック名誉博士 (1928-2010) が、スイスに与えた影響は語りきることはできません。1983年、当時の「クオーツ・ショック」に対応しハイエックが創業したスウォッチは、彼の賢明なビジネス戦略によって、世界中の人々が腕時計について抱くイメージを一新、腕時計をファッションやコレクションのアイテムに変身させました。ブランド立ち上げの1986年から他界するまで、会長兼代表取締役としてスウォッチ・グループ(Swatch Group)の経営にあたったハイエックにより、ティソ、ロンジン、オメガ、ブレゲなどのブランドが同グループに吸収されたことで、スイス時計業界の本質的部分の存続が可能となったのです。彼の生涯に渡る貢献に対して、2007年には史上初のスイス生涯功労賞が授与されました。

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同じ年の5月23日、スウォッチ・グループ・ジャパンの新たな本社ビルが都内で最もエレガントなショッピングとダイニングのエリアとして知られる、銀座の中央通りに誕生しました。そして、そのビルの名称は?同グループの誇る開拓精神と創造性とを的確に表現するものとして、選択肢はただ一つ:こうして名付けられたのが「ニコラス・G・ハイエックセンター」でした。

通りの中の通り

昼と夜 (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

ニコラス・G・ハイエックセンターの設計は、日本の高名な建築家で2000年Time誌の「21世紀のイノベーター」の一人に選ばれた坂茂(Shigeru Ban)が手がけました。以来、そうした期待を裏切ることなく、それは東西の建築形態と手法を融合させた、彼の「紙の建築」の理念を重視した姿勢や建築プロジェクトにおける環境への配慮にうかがいしることができます。坂氏による数ある高度な海外における作品のうち、その2つは現在スイスに存在しています。具体的にはチューリッヒのタメディア新本社(2013)、そして特に重要なもの、それがスイスのビールにあるスウォッチ・オメガ新本社(建設中)です。つまり、スウォッチ・グループの日本本社とスウォッチ・ブランドのスイス本社は、ともに日本の建築家坂氏の設計によるものなのです。

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旧パールビルの跡地に2004年から2007年にかけて建設されたニコラス・G・ハイエックセンターは、前面と裏面のファサードが4階分の高さのガラスのシャッターに覆われた14階建て高さ56メートルの構造物です。プロジェクトの説明で坂茂氏が自ら述べているように、ガラスのシャッターが開くと、このビルは誰でも歩くことができる生き生きとしたダイナミックな通り「ウォッチ・ストリート」に姿を変えます。大きなアトリウムの側壁には、観葉植物が天井から地面まで流れるようにめぐらされていることで、店舗、利用客、そしてオフィスといったそれぞれの活動範囲を、周囲の都会的な雰囲気とは対照をなして途切れなく敷き詰められた垂直の緑の公園の一部にしているのです。

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ニコラス・G・ハイエックセンター内の地下1階から4階には7店のブティック(ブレゲ、ブランパン、グラスヒュッテ・オリジナル、ジャケ・ドロー、ロンジン、スウォッチ)があり、それぞれへのアクセスのしやすさを確保するためにエントランスに設置された、ガラス張りの大型油圧式ショールーム用エレベーター7台が、顧客を迎え入れます。5階から13階まではお客様サービスとオフィス、そして最上階には素晴らしい眺めを誇る展示ホール「シテ・ドゥ・タン」が設けられています。一言でいうなら、スイス最大の時計メーカーのイメージが投影された建築の傑作なのです。

ニコラス・G・ハイエック センターのスウォッチ ブティック (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

ニコラス・G・ハイエック センターのブレゲ ブティック (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

ニコラス・G・ハイエック センターのオメガ ブティック (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

ニコラス・G・ハイエック センターのブランパン ブティック (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

世界に時を届ける

スウォッチ・グループ社は、世界最大の完成品腕時計製造業者です。完成品腕時計や宝飾品、腕時計のムーブメントやコンポーネントの製造に意欲的に取り組んでいます。同社傘下の18のブランド、さらにトゥールビヨンやアワー・パッションなどの複数ブランドを取り揃えた小売店で扱う、すべての腕時計製造に必要なコンポーネントのほぼ全てを自社で製造しています。実に、スイスの腕時計業界全体を指揮している存在ともいえます。加えて、独自の流通組織も世界規模で運営しています。

スウォッチ・グループには時計・ジュエリーのブランドが18あります (©スウォッチ・グループ社)

現在、取締役会長を務めるナイラ・ハイエックとCEOのニック・ハイエックの指揮の下、スウォッチ・グループは今後も継続的に研究開発に多大な投資を行い、素材や加工技術そして製品デザインと製造における主導的立場の安定した拡大をさらに推し進めています。中でも特にスウォッチ・グループは、マイクロエレクトロニクスとマイクロメカニズムの重要な開発活動に携わっています。この他、テレコミュニケーションや自動車、サービスの分野でも積極的に取り組んでいます。

ニコラス・G・ハイエック センターの新しいワークショップ (©スウォッチ グループ ジャパン株式会社)

また運動競技用の計時や測定技術は、同社の中核ビジネスではありませんが、ブランドやグループ認知度の観点では重要な役割を果たしています。スウォッチ・グループの傘下企業の多くがオリンピックを含む各種の国際的スポーツ・イベントで公式のタイムキーパーを務めています。1932年以来オリンピックで公式のタイムキーパーを28回にわたり務めているオメガは、2021年の東京でもその名誉ある役目を果たすことになっています。