- 左: 奈良の東大寺 / 右: ベルンの連邦議事堂
- スイスの首都、ベルン
- 奈良の東大寺 (©奈良県)
奈良県 ― ベルン州(2015年)
関西地方 | 奈良県
姉妹都市
奈良県とベルン州はどのようにしてスイス・日本間で最大の姉妹関係を結ぶことになったのでしょうか
日本のこころ
記録に残る限り2千年近い歴史を持つ奈良県には他のどの都道府県よりも多くのユネスコ世界遺産があります。日本の文明発祥の地として知られているこの地域は大和と呼ばれ、6世紀から8世紀にかけて何度か日本の首都が置かれました。今日では、その歴史的、文化的な魅力と、かわいらしい鹿のおかげで、国内外から毎年数え切れないほど多くの来訪者を迎えています。
しかし、日本第2の巨大経済圏である関西地域の一角を担う奈良県は、過去の栄光に安住することなく、その魅力を向上させる方法を積極的に探し求めています。そして、スイスと出会うことになりました。
外交と皇室の支援
2014年5月、国交樹立150周年を祝うために日本の代表団がスイスを訪れました。その際、人口、環境、経済、文化遺産の観点から奈良県とベルン州には驚くべき類似点があることを外交官たちが取り上げたため、両自治体はすぐに関係強化と協力可能な共通分野の検討に入りました。
わずか1年後の2015年4月17日、ベルン州のバーバラ・エッガー=イエンツァー知事と奈良県の荒井正吾知事はスイス・日本間で2番目の州・県レベルの友好協定に奈良市内で署名しました。関係者は、観光、文化、林業、エネルギー・環境技術に関して情報と経験を交換することに合意しました。また、合同プロジェクトに関心を持つすべてのコミュニティー、団体、組織、企業に関与してもらうことも約束しました。
調印式の前夜、ベルン州代表団は徳仁皇太子殿下の出迎えを受け、殿下はスイスで2番目に大きな州に関心を示されました。
こんにちは、大統領!
ベルン州は何よりもまず、連邦と州の首都であるベルンを擁することで知られています。ベルン市は中規模の都市で、巨大な連邦議事堂と中世の建築物は訪問者のお気に入りの場所です。旧市街の典型的なアーケード通りでは、スイスの大統領や閣僚が通行人に交じって何気なく歩いている姿も見かけられます。
首都を離れると、ドイツ語とフランス語の二言語主義政策、様々な地勢、伝統の違いなど、州内は多様性に富んでいます。ユングフラウヨッホの麓にある2つの湖の間に位置する国際都市インターラーケンから、エメンタールのおいしいチーズ、アルプホルン、緑の牧場まで、ベルンには海外でのスイスのイメージを形成することになった多くの要素があります。そのため、ジェームズ・ボンドの「女王陛下の007」(ミューレン)や「シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦~花嫁は僕の胸に」(ザーネン、グシュタード)など、何百本もの映画に取り上げられています。
また、ベルンは2世紀以上に渡ってスイス精密機械産業のハブ(機軸)でもあります。ロレックス、オメガ、ロンジン、スウォッチなどのブランドはすべてこの地で創業しています。一方、医療技術、再生可能エネルギー、通信、コンピューターサイエンス、エンジニアリングなどの新しい分野は急速に拡大を続け、国際的評価の高い多くの企業を惹きつけています。
「値段をつけられない」協定
この機運に乗じて、奈良県とベルン州は、数回の訪問や青少年交流、またベルンにある大学と協力して実施した森林と野生生物管理に関する夏季講習など、既に多くのことを成し遂げています。2019年5月には、高齢者介護という共通の課題を話し合うため、ベルン州から奈良に専門家の一団が派遣される予定です。
2015年にエッガー=イエンツァー知事は次のように話しています。「日本の皆さんのベルン州への思いに大変感銘を受けました。奈良県との友好協定はこの基盤の上に成り立つもので、日本におけるベルン州の評判をさらに高めてくれます。値段がつけられないくらい貴重です。」